世界最大級の起業支援機関である米ケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)が3年前に東京・虎ノ門ヒルズビジネスタワー(港区)に開設した、日本の支援拠点の運営を担う。進出に携わった日本拠点は、スタートアップ(新興企業)や地方自治体、大学など約280社・団体が入居する一大交流の場となった。海外からも3割が参加する。
「ごった煮みたいかもしれませんが」というが、多様性が感じられ、革新的なビジネスを生み出せるのではないかという気分にさせてくれる。入居スペースは全体的にガラス張りで明るい。開放的で自然と会話が弾みそうな雰囲気だ。熱気があり、ここには「閉塞(へいそく)感」はない。経済活性化に向けスタートアップ支援強化を打ち出した岸田文雄首相が視察に訪れたほどだ。
CICとの縁は知人の紹介がきっかけだったが、入社の決め手は夫の仕事の都合で渡米した際、住んでいた街にチャレンジ精神に満ちあふれた起業家たちが当たり前のようにいて、「起業には何が必要なのか」と興味を持ったことだ。子育てに追われてもいたが、スタートアップ先進国で刺激を受けた。創業者のティモシー・ロウ最高経営責任者は「美奈子自身も成長した。東京に彼女のようなリーダーがいることは非常に幸運だ」と期待する。
キャリアを重ねた40代のいま、「地方も元気にしたい」と話す。現在、日本の2拠点目として福岡市が検討されている。故郷・九州の活性化も実現したい。
(佐藤克史)